〜 愛 飢 王 の 物 語 〜


1行7-7-7-7の5行、出だしは「あいうえお」で綴る連作五行詩。

ここあ・りゅうご・水野はるか・pipi・ゆー・Myu・湯沢原

総勢7名(敬称略)による合作です。



あがない…かなしみ
あいにうえてる おおさまいった ひとをあつめて おおさまいった

いのちおしくば あいをさしだせ わしをまんぞく させよといった

うろたえまどう まちのひとびと くしんさんたん かんがえたけど

えらいことだと つぎつぎにげた からっぽのまち いぬいっぴきも

おおさまひとり おしろにひとり あさにもよるも おしろにひとり

〜「あ行」by 湯沢原〜

かなしくなった おおさまはよる ひとりでしろを せにしてでかけ

きらきらひかる まんてんのほし かぜのおとにも おどろきながら

くるくるおもい うずまくむねに なぜだれからも あいもらえない

けれどおおさま うまれたときに ほしいものみな はじめにあった

これははたして しあわせなのか あいをほしがる おおさまのたび

〜「か行」by ここあ〜



さすらい…ためいき
さまようこころ むねにかかえて おうさまひとり もりのこずえが

しらないみちを てまねきしてる はじめてあるく とおいみちのり

すこしつかれた ひといきついて こしをおろした そのばしょには

せきばんもじで かかれてあった あいがほしくば このまちへいけ

ソロモンよりと まちのなまえは ききおぼえない だあくどれあむ

〜「さ行」by 潮風〜

たびじのはてに たどりついたが おうさまはただ がくぜんとした

ちずからきえた さびしいみやこ はやりやまいで みなしにたえた

つきのひかりが せきひをてらす しじんがかいた ちんこんのうた

てんをあおいで おうさまはゆく はてなきみちを またあるきだす

とみにおぼれた おうさまがいた このみやこにも おうさまがいた

〜「た行」By りゅうご〜



なつかし…はぎしり
なみだににじむ つきのまぶしさ ほほをたたくは きたからのかぜ

にしのまじょに あいにゆこうか だれをたよれば よいのであろう

ぬかぼしのした おうさまひとり こやをみつけて わらのベッドに

ねむりのふちで きこえてくるは ちちははのこえ やさしきひびよ

のはらをかけた あいばはどこに あすはにしへと こころをきめる

〜「な行」by 水野はるか〜

ははなるだいち ただひたすらに おうさまひとり にしへとむかう

ひろうこんぱい あくせんくとう きれいなふくは ぼろぼろになる

ふるさとにまつ まちのひとびと おうさまあんじ いのりをささげ

へいたいなしの おうさまひとり にしのはずれで むらびとにあう

ほっとしたのも つかのまなのか よごれたかれは あぁおりのなか

〜「は行」by pipi〜



まほろば…やさしさ
まわりをみたら そこにはこども としはもいかぬ こどもがひとり

みちにまよって おなかがすいて パンをひときれ ぬすんでしもた

むかしばなしを はなしていたら こどくなこども ちちははなくし

めんをかぶって いきてきたよと そのこもあいに うえていたのだ

もっとそばまで おうさまよんで そのこをギュと だきしめあげた

〜「ま行」by ゆー〜

やわらかなかみ つめたいてあし ちいさなからだ つたわってくる

いのちのこどう わすれかけてた ひとのぬくもり いとしむこころ

ゆめをかたろう あすへのおもい そらのあおさを ひのやさしさを

えにもかけない こころのおもい いつかふたたび このてのなかに

よるにつつまれ ふたりでかたる おだやかなやみ さぁぬけだそう

〜「や行」by Myu〜



らいこう…わすれじ
らんぷをともし みはりのおとこ おおさまのかお のぞきこんだら

りりしきひとみ しっかとみえた ぼろをきてても おうのけだかさ

るすにしていた おおさまだよと みはりあわてて みんなにいった

れいをつくして へいたいつどい おもたいかぎが がちりとあいた

ろうやをぬけて おおさまいった こどもにむかい おおさまいった


わすれはしない もうわすれない ほんのすこしの ちいさなゆうき

をのこよきみに わたしのあいを せいいっぱいの ちいさなあいを

んんとわらって こどもはないた うれしいきもち あふれてないた

〜「ら行・わ行」by 湯沢原〜

− Fin −


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